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2023年1月20日

コロナ禍で再認識 人々が集うSSの “コミュニティー機能”を 深掘りせよ!

※ こちらの記事は、株式会社月刊ガソリンスタンド社よりご提供いただいた記事となります。



コロナ禍に入り、外出自粛で苦境に立たされた飲食、小売業界を支援する一環として、SSでマルシェを開催したり、キッチンカーに場所を提供する動きが広がっている。


地域住民にとって、身近で最寄性の高いSSのコミュニティー機能が改めて見直されている。



出店者の数だけ物語あり  “ご縁”の数珠つなぎで 「マルシェ」開催へ


福岡県筑豊エリアを中心にSSを展開するナカハタでは、セルフ201田川バイパスSSに隣接した敷地内で昨年春からマルシェを定期開催している。


コロナ禍で苦境に立つ地元の飲食関係者、小売店に無償で場所を提供し、販売機会の創出や活性化に貢献。


また、外出自粛でストレスが貯まりがちな時勢のなかで、地域住民の心が明るくなり、喜んでもらうような企画として取り組むものだ。


同社では「ナカハタマルシェ」と銘打ったイベントをこれまで3回にわたって開催。1回目は昨年の4月。セルフ201田川バイパスSSのオープン1周年の感謝祭のお楽しみ企画としてスタートした。2回目が同年の秋。3回目が今年の4月に開き、回を重ねるごとに内容が充実している。




そもそものきっかけは、コロナ禍でイベントが中止となり困っていた魚の惣菜業者から「SSで出店したい」という打診があったこと。


当初は安全管理の面から断ったが、1周年イベントの際に声を掛け、そのほかにも地元の乾燥シイタケ園やスイーツ店、酒店などに呼びかけて開催に至った。


初めての試みだったが上々の反応をみせ、参加店から「また出店したい」と好評で、口コミで「次に開催する機会があれば出店したい」と要望する声が相次いだ。


1回目で4店だったものが、半年後の2回目には10店に拡大し、まさにマルシェ(フランス語で“市場)”のにぎわいをみせ、手応えをつかむものになったのだ。


興味深いのは、出店者の数だけ物語があること。開催のきっかけとなった魚惣菜店だけではなく、例えば、同社の地元である添田町にある椎茸園は、林業を営んでいた創業者からのつながりで、椎茸の乾燥に重油を使っていた。


また、中畑社長の後輩が営む酒の小売店では、コロナ禍で飲食店の営業が制限され、卸し事業に打撃を受けるなか、マルシェで地元の田川産100%大麦が原料の焼酎を宣伝し販売した。




ほかにも、同業者や顧客から「出店場所がなく困っている」という情報を得て声を掛けたり、元従業員が勤める農業法人が旬の野菜を出店するなど、数珠つなぎのような縁とエピソードが1店1店にあるという。



女性社員が試行錯誤 しながら企画運営した マルシェ


1回目からイベントの企画運営を担っている責任者の師岡美果さんは、「会社として前例のない初めての取り組みで手探りの状況から始まりました」と振り返る。


まずは出店業者への呼びかけ。さらに、大型テントやテーブルも必要で、レンタル業者も一から探した。チラシ作りでも「どう表現するか苦慮しました」。




会場設営においては、駐車場の位置決め、導線レイアウト、安全管理、マルシェ感を演出するPOPづくりなど「初めてづくしでした」と話し、2回、3回と続けるうちに要領も得て、出店者への申込書の作成では、発電機が必要か、何ワットいるのか、SNSは何を使っているのかなどを事前に質問し、会の運営を円滑に進めるノウハウが出来上がっていった。


場所を無償で貸し出すだけでなく、マルシェの活性化を図るため、SSで元売カードに入会した顧客に金券を渡して送客。LINE会員に向けても情報を発信し続けた。




課題としては、キッチンカーの業者やイベント出店業者は早期からスケジュールが埋まっているため早く予定を押さえる必要があるが、一方でコロナ禍の状況次第で開催の可否が問われるため、開催の計画を組む時期が限られてしまうことだ。


収穫としては、顧客と出店者の双方に喜ばれたことはもちろん、それぞれの出店者がSNSを使って発信してくれるため集客面で相乗効果を発揮したことだという。


「お客様から“次のマルシェはいつ?”と待望されるような、ここにしかないイベントにしていきたい」と抱負を語り、今後も継続的なイベントを仕掛けていく意向を示す。





人の縁、地域の輪 原体験は「昔のガソリン スタンド」にあり


「コロナの行動制限で遠出ができないなか、SSに来て“面白かった”と喜んでもらい、地域の元気を取り戻す一助になれば、という想いがありました」とは中畑社長。いざ取り組みを重ねると、「創業者の代から70年以上、地元のお客様や取引先など、人と人の縁や、支えて、支えられての関係性を改めて実感しました」と強調する。







同社長は、「コロナ禍前後で地域や人との関わり方が変化したように思います」と指摘。


「私が幼少の頃、両親が共働きでしたので、学校が終わって向かうのはSSでした。アルバイトのお兄さんがSSの向いにある商店でアイスやジュースを買ってくれたものです。その商店が過疎高齢化のなかで閉店したとき、地元住民からの要望でSSに日用品や雑貨、カップ麺、駄菓子などを置くようになったことを覚えています。


昔のSSって、常に店内にお客さんがいて、コーヒーを飲みながら新聞を読んだり、スタッフと話をする光景がありました。あの店にいけば何か(楽しいことが)ある。そういう期待感のあるコミュニティーだったと思います。


コロナ以前は人間関係の希薄化、ドライな社会と言われていましたが、コロナ禍を経て、人と人のふれ合いやワクワク感を求める社会的ニーズが高まっていることを肌で感じました」と自身の原体験をもとに社会、消費者の意識の変化を読み取る。




同社の取り組みと規模の大小は違えども、消防法の規制緩和を追い風に、全国各地のSSで同様にマルシェを開催したり、キッチンカーに場所を提供する動きが見られる。そこには、共通した地域課題や社会的ニーズがあると思われる。


変化の著しい環境にあるSS業界だが、売るものが何に変わっても、各社が積み上げてきた歴史や地元客との関係性をベースに、地域コミュニティーとして生き残る可能性は大いに残されているはずだ。





月刊ガソリン・スタンド 2022年 9月号

P.130 「◎コロナ禍で再認識 人々が集うSSの“コミュニティー機能”を深掘りせよ!」より


【 掲載ガソリンスタンド 】

セルフ201田川バイパスSS / (株)ナカハタ

(福岡県田川郡香春町)


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