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2024年1月26日

地域初の事業に独自のサービスを展開 課題はスキルアップと利益率の確保

※ こちらの記事は、株式会社月刊ガソリンスタンド社よりご提供いただいた記事となります。


コバネン・妙高高原SS(ENEOS系=新潟県妙高市)


地元の人々の生活に寄り添う事業を行っているコバネン。5年前、小林隆浩社長の右腕としてスカウトされたのは、当時フリート系SSでアルバイトをしていた倉俣和也店長である。彼は入社後、キーパーの導入などチャレンジを始めた。




プロフィール

倉俣和也 くらまたかずや

1988年、新潟県上越市生まれ。高校卒業後、昭和シェル系(当時)のSSに就職。その後、複数の職を経てフリート系SSでアルバイト。30歳でコバネンに就職し、店長に就任


沿革

コバネン

1993年(H5)、創業。2013年(H25)中古車レンタカー開始。18年(H30)セールスルーム内でコインランドリー開始。22年(R4)100円ショップ&カフェオープン。小林隆浩社長




日本有数のスノーリゾートである妙高高原。雄大な自然で旅人を癒やすこの町で、SSをはじめ生活者に寄り添う事業を展開しているのがコバネンだ。


10年前に中古車レンタカー、5年前にコインランドリー、そして昨年「100円Shop&Cafe」を妙高高原SSの隣接地にオープンした。


いずれもこの地域にはなかった事業で、特に独自のサービスを付加した点に着目したい。


まずレンタカー。同SSは妙高高原駅から1㎞強の場所にある。地元の旅館と提携し、宿泊客の到着時間に合わせ、駅までレンタカーを届けるサービスを行っている。


コインランドリーはセールスルーム内に、洗濯乾燥機2台と乾燥機4台を設置。「預かり対応サービス」では、洗濯済みの衣類を乾燥機に入れ替え、乾燥後は丁寧に畳んで、お客に完了の連絡を入れる(無料!)。


「100円Shop&Cafe」(以下100均)―100均とカフェのコラボは全国でも珍しい。4000品目もの商品があり、ドア横の目立つところにカー用品を陳列している点が、他の100均とは異なる。

道路側にはしゃれたソファが置かれ、自慢のコーヒーやケーキ等とともに、ホッと一息つける場所を提供している。

100均を開業した理由について、小林隆浩社長は次のように話す。「SSの仕事は飽きやすい。従業員にやりがいを持たせたかった」


隣接地を購入した際、当初は飲食店を画策したが、断念。自身の「やりたいことリスト」のなかにあった「100均」を、「どう思う?」とスタッフに提案して実現したという。


オープン後は、商品の選定等も含め、すべてスタッフに任せている。「俺は給油と経営担当で隣(100均)のレジも打ったことがない」と笑う。SSもまた然り、だ。







フリート系SSでSSのすべてを教わる


SSと100均、同社の屋台骨となる事業を任されているのが、倉俣和也店長(35)である。


彼は整備士3級、査定士、損保保険(自動車)ほか、酒類販売業、小型建設機械、解体工事業、玉掛け等なかなかユニークな免許と経歴をもつ。


倉俣店長は高校生の頃、先生から「元気がいいから、SSどうだ?」と勧められ、紹介されるまま、昭和シェル系(当時)のSSに就職した。


3年半ほど働いた後、退職。その後は、好奇心の赴くまま、仏壇販売店や解体工事、ごみ収集、アスファルト工事等を転々としたという。


知人の紹介で、フリート系SSで働きだしたのは20代後半のこと。先の店とは「レベルが違う」と感じた。


「SSの1から10まで鍛え上げてもらった。そうそうたるメンバーが揃うゴールデンチームで、聴いて、視て、技を盗んだ。頑張って実績を上げ、上司からも『センスがある』と褒めてもらった。楽しかった」


同店での勤務が1年経過した頃、彼は知人を通して、小林社長からスカウトを受ける。それは「いずれは店長になって、店を任せたい」というものだった。


上越市出身の彼は妙高高原の場所もよく知らなかった。もちろん、コバネンも、小林社長も。


なぜ倉俣さんをスカウトしたのか、小林社長に尋ねた。


「一緒にやっていく若い人が欲しかった。うちの従業員は、全員、伝手で来てもらっている。経歴は求めておらず、直感で決める。彼に最初に会った時『将来は店長に』と話したら、『頑張りたい』と即答した点が気に入った」と明かした。


倉俣さんはプレッシャーを感じながらも「ステップアップができるかも」と、このスカウトを受ける決心をした。



声掛けと紹介を積み重ねタイヤ1000本を達成


こうして倉俣さんは30歳の時、コバネンに店長として入社した。「数字を上げて、認めてもらおう」と意欲にあふれていた。だが、前のフリートSSと妙高高原SSでは、考え方ややり方等がまるで異なっていた。

 

「地域密着で、一人ひとりを大事にする。近所づきあいも大切」という小林社長の考え方に、倉俣店長は「だんだん寄せていった」と言う。


フルサービスの同店は高齢者の利用が多い。「まずは仲良くなろうと、持ち前の懐っこさと笑顔で懐に飛び込んでいった」

これまであまり積極的でなかった声掛けにもチャレンジし始めた。「タイヤ、ひび割れていますけど、大丈夫ですか?」―こうした声掛けで、入社1年目の冬、前年比プラス200本を販売した。


3年前、客単価を上げようとキーパーコーティングを導入。すると1年後、タイヤやオイルの売り上げも上がったという。また、これらの快進撃には「ほかのスタッフのサポートも大きい」と言う。


長年勤めている年配のスタッフは多くの顧客をもち、地元出身の女性スタッフは軽やかにお客に話しかける。「新しい店長だから、タイヤでもオイルでも、安くしてもらえるよ~」


倉俣店長は「1年にわたって声掛けしてもダメだったお客さんが、女性スタッフの一声で購入してくれたこともある」と苦笑した。


商圏が限られているなか、声掛けと紹介等で実績を積み上げ、今年ようやくタイヤ販売1000本を達成した。


査定士の資格を持つ倉俣店長。お客と顔なじみになるにつれ、車の売買の相談も増えてきたという。毎月数台を販売する健闘を見せている。


ちなみに同SSのスタッフは車好きが揃っている。倉俣店長はキャデラックのエスカレード。スタッフの久保田唯さんはドラッグスターとクラウン、弟の翔哉さんは自分で装飾を施したデコトラにバイク4台等々、個性派ぞろい。車好きが集まりそうな予感がプンプンする。





タイヤとキーパー カーメンテに注力


冒頭でも述べた通り、妙高高原は冬のリゾートというイメージがある。周囲の山々は緑濃く美しいが、夏の町はどこか閑散とした印象だ。そのなかで、コバネンだけは多くの人が出入りする活気を見せる。


「走り出したばかり」(小林社長)の100均は正直「売り上げがなかなか上がらない」。とは言え、SSとの相互作用が構築されつつある。


今後は「町の休憩所としても使ってもらえるように、PRに努めたい」と倉俣店長。ウッドデッキを作って、ビアガーデンとか…と夢はふくらむ。


SSについては「課題が多い」と話す。今後改善したい点は「利益率」と言う。「他店にはないサービス」を考えるが、あれもこれもサービスしては利益が上がらない。その程よい塩梅を見極めるのは「時間がかかる」と予想している。


入社から5年。小林社長から見た倉俣店長は「まだ若く、年上のスタッフも多いなか、よく頑張っている」。今後についても「彼に任せたので、口出しはしない」ときっぱり。


その重責を担う倉俣店長は「キーパーとタイヤを主軸にやっていきたい。全体をスキルアップし、カーメンテに力を入れる」と抱負を述べた。鍵を握るのは「やりがい」だ。



月刊ガソリン・スタンド 2023年 8月号

P.184 「◎地域初の事業に独自のサービスを展開 課題はスキルアップと利益率の確保」より


【 掲載ガソリンスタンド 】

妙高高原SS / (有)コバネン

(新潟県妙高市)


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